鳥の涙と魚の涙


鳥の涙と魚の涙
優しい鳥が羽ばたいて
飛ぼうとすればするほど
進もうとすればするほど
その羽毛が抜け落ち
ひらひらきらきら
光を受けて空を舞う
何も知らない子供は
きれいだとはしゃぐ
何も知らない大人は
きたないといぶかる
高い空ではちっぽけな
鳥の涙は誰にも見えない
優しい魚が水を掻き
泳ごうとすればするほど
進もうとすればするほど
その鱗が抜け落ち
ひらひらきらきら
光を受けて海を舞う
何も知らない子供は
きれいだとはしゃぐ
何も知らない大人は
きたないといぶかる
広い海ではちっぽけな
魚の涙は誰にも見えない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近、自動車事故に関する会見を目にした。
大切な誰かを亡くす喪失感は
羽や鱗を剥がれることとは
比べ物にならないかも知れない。
関係者の悲しみは白日の元にさらされた。
社会との関わりを十分に持てなくなった
人の事件も目にした。
関係者の悲しみは白日の元にさらされた。
一方、加害者の心の内はおそらく
誰にもわからない。
何を抱えていたのか
何に苛まれていたのか
不安か後悔か
孤独か絶望か
誰もにわからなかった。
どうにもできなかった。
こうして、悲劇は繰り返される。
けれども
幸せだって連鎖するだろう。
だからこそ
誰もが幸せを実感できるような
社会であることを切に願う。